前々回、前回と続いて、3回目です。 大家業のやり甲斐とは?に答えます。
4.大家さんになるなら「他人の人生を助ける大家さん」を目指してほしい
射水市に来てまず思ったのは「射水市には、この精神が欠けているのではなかろうか?」「富山県全域で、この傾向にあるんじゃないか?」という疑念です。
だって、やたら賃料高いし、3LDK以上の部屋は全然見つからないんですもの。地元の皆さんは、一体何をやっているのだろう?と思いました。
賃料が高い理由は「周りが皆、そうだから」だと感じます。富山県人の県民性がよく表れている結果だと思います。保守的な傾向が強いので、周囲に足並みを揃える、自分だけ(金銭的な)損をしたくないという思いで、賃料が高い水準にとどまるのです。
3LDK以上の部屋がない理由は「そんなに部屋が必要なら、早く家を建てんまいけ!」という勝手な思い込みです。富山は持ち家率・家の面積ともに全国1位。先祖代々、20代半ば、結婚したら自分の家を持つのが当たり前。そのためには夫婦共働きでがんばりなさい。アパートなんぞに住むのは学生か、まだ家を建てる収入がない人だけ、という根深い考えがあるからと想像します。
私が富山に来て9年。この短い期間でも感じているのですが、もうこういう考えは通用しないと思います。グローバリズムが進み外国人が増加、世帯収入も減少、家に対する考え方の変化、そしてコロナの影響で都心から地方への流入機会の増加・・・。こんな条件で、射水市、富山県で、家を借りたいと思うでしょうか?
大家さんは「衣食住」の中でも大事な「住」を提供する担い手です。経営者として考えるならば、需要が多くて人気のあるエリアに、高い家賃で貸すのが鉄板なのは百も承知です。加えて、消費者目線に立って、何が求められているのかを掴み、よりよいサービス提供を行うという使命を持つべきではないか、とも思います。
それは大家さんだけに課されているわけではなく、地元の大家さんの良きアドバイザーになるべき、私たち不動産業者の使命でもあります。住まいの担い手、そしてそこに住む人の生活を支えられる大家さん・不動産業者でありたいものです。
これから私が取り組むことですが、射水市内にも空き家がゴロゴロあります。多くの不動産会社が「これはもう解体するしかない」と諦めるものでも、まだ使えるものがきっとあります。思考停止して、解体して新築するスクラップアンドビルドで片を付けるのではなく、再生して手頃な賃料で提供できる家もあるはずです。一つずつ発見して、再生して、足りないものを補っていく。そういうところから新たなまちづくりのきっかけにしたいと、密かに計画を進めています。
もう一つの視点は、大家さんとしての「人間力」です。入居者に心をかける。初めて一人暮らしをしたり、初めてこの町に住み始める人たちは皆生活が不安です。慣れてきても、賃料の支払いに困る人も出てきたり、近隣住民の騒音などでイヤな思いをする人も出てくるかもしれません。大家さんが住人のよきサポーターとなることが、定住=安定した家賃収入に繋がり、ひいては地域のサポーターにもなれるのかもしれません。
他人の人生、地域を助けられる大家さんを目指して。