近年、いろいろ法改正などが行われ、じわりじわりと空き家対策が進みつつあります。
●今年の4月から相続土地国庫帰属制度が開始
これは、国にそのまま不要な不動産を引き取ってもらうものではなく、測量や境界確定、不要な建物の除却をしっかりして、きれいな更地にした上で、10年間の管理費用を前払いすることで国に帰属させる、というものです。
率直に言いましょう。
費用かけて国に帰属させるくらいなら、そのままの状態で0円で不動産業者に託したほうが良いです。
国は余計な土地を帰属させたくないので、民間内での流通を促すのが狙いでは?と思う内容です。
●来年の4月から相続登記の義務化が開始
放置されると問題になりやすい「相続登記」を促すのが狙いですが、一番のポイントは「実務の簡略化」と言われています。
相続人全員の意思確認や書類をそろえるのが煩雑なのが相続の手続きです。
この手続きが少しでも楽になり、必ずしも司法書士等に任せず、極力費用をかけないでできれば、義務化されても大きな反対は起きず、私たち業界にいる人も相談を受けやすくなることを期待しています。
ちなみに、令和8年から住所変更登記の義務化が始まります。
自分の家だけならともかく、複数の不動産を相続や事業で持っている人にとっては、住所変更手続きは費用がかかってしょうがありません。
これも、手続きの簡略化や登録費用の減額など、対策を講じてもらえれば、と期待しているところです。
●先月発表された「空き家改修 費用1/3補助」
国土交通省は空き家の活用に向けた支援策を拡充する。企業やNPOが手がける空き家のリノベーション(大規模改修)費用の3分の1を補助する。急増する空き家を放置すれば、防災や衛生面で地域に悪影響を及ぼす。危険を取り除き、中古住宅市場の活性化につなげる。2023年度に空き家対策の事業を大幅に見直した。空き家を買い取るなどして大規模改修した場合に要した費用を支援する。解体せずに住宅や施設として再利用することを想定する。取り壊した場合は費用の5分の2を補助する。
(日本経済新聞)
人口が減少する一方、若い世代の新築・賃貸アパート、売買マンションの新築はなおも続いています。
解体しようにも、物価高騰の影響や分別の強化で解体費用は右肩上がり。
細かい計算をしなくても、日本の空き家率が上がる一方ということは、誰でもわかると思います。
国の狙いは、
・災害時に危険となる放置空き家の減少
・中古住宅市場の活性化
のようです。
ポイントは「個人」に補助ではなく、「企業やNPO」に補助をするところですね。
プロの手で、空き家をしっかり直してくれ、という気持ちが多少なりと感じ取れる内容です。
まぁ、不動産業界の信頼を損なうような詐欺事件が起きなければいいのですが・・・。
中古自動車店のニュースもありましたし。
DIYで中途半端に安普請するのは、今回の空き家改修ではアウトのようです。
●ほかにも相続がらみの法改正、支援策がありますが、今回は3点についてコメントしてみました。
私たち不動産業界の流れが変わるのか?
実務で変化を感じながら、意識して臨みたいと思います。